「真紅の、紅は何色が良いかのぉ?」

「ふむ、妾としては黒なんぞが良いと思うが、どうじゃろうな純白の?」

「え、あ、あの……良いと思う、けど、主様は嫌がらないかな、深緑?」

「知るか、そんなもん紫にでも聞いとけ」

「大丈夫よ、この頃の主様ったら女に化けて良く遊んでたじゃない、その延長よ、ねぇ、山吹?」

「……………そうだな」

現状確認したいんだが、意味不明過ぎて理解の理性が追いつきません。

何が起きているんでしょうか?

俺の声だって言うのは間違いないんだが、口調が違う。

何と言うか、聞き覚えのある口調のような気がするんだが。

や、会話の内容も気になるけど、そこは気にしちゃいけない気がするから流すけど。

とりあえず、現状確認だけはしておくべきのような気がする。

まずは、身体の状態。

誰かに金縛りの術をかけられ、全身を麻痺させる秘孔に千本を刺されていて眼を開ける事すら出来ない、と。

状況は、俺の声が聞こえるって所と幾つかの声が下の方から聞こえて来る所から昨日の小人七人衆である可能性が大。

……チャクラの供給止めて、消したはずだぞ、俺?

「急げ、玉藻と主が起きるし、忍者登録所の写真撮影に遅れる」

「げ、マジかよ、急げ漆黒」

「わかっとるよ」

その短いやり取りの後、顔中を何かハケとか筆とかの感触が動き回る。

はっきり言って気持ち悪いんだが、何なんだよ、コレは?

いや、この感触には覚えがあるから、何がどうなっているのかは一応知ってるけどな。

「…………うむ、ぱーふぇくと」

「流石漆黒じゃな、見事」

視線だ、視線を感じる。

突き刺さる様な視線が八つ。

………………八つ?

「へぇ、影分身なのに勝手に動けるんだ」

「そうなの、カカシくんには後々知られる事になるだろうから、前もって挨拶しておこうかと思ったのよ」

えっと、カカシと言うと、あのカカシ先生の事でしょうか?

「でも、どう言う原理なんだ?」

「それは秘密。 一つだけ言っておくけど、主様に私みたいな性癖があるとかそう言う事じゃないのよ?」

「ま、良いけど、危害は加えないんだよな?」

「当然………玩具にするだけよ

今、聞き捨てなら無い言葉を小声で吐かなかったか、小人の一人?

「そっか、なら別に気にしなくても良いな」

良くない、全然良くないって!?

助けて、カカシセンセー!?

「じゃあ、カカシくん、私達は主様を運んじゃうから、またね」

「ん〜、はいはい」

カカシ先生の気配が遠ざかり、それと入れ替わりに身体が持ち上げられた、のか?

って、何か、違う。

確実に足に感じるはずの布の感触が何時もと違うんですけど!!

何かスースーするんですが、何着せられてるんだ、俺!?

「七人の小人と言えば白雪姫、さぁ、歌いながら行くわよ!!」

「「おー!!」」 「「「………おー」」」 「……お、おー」

温度差があるんだから、その温度差のついでにどれかが止めてくれれば良いのに無理なんだろうなぁ。





――アカデミー屋上――


「…………………お前ェ、本気でそんな顔で撮んのか?」

「良いのよ、ねぇ?」

「うむ、やはり写真は美しく写るべきじゃからの」

いや、美しく写らなくても良いから、普通に写真撮らせてーーーー!!!!!!!!!

「ったく、後悔すんなよ?」

後悔してます!!

って、言うか現在進行形で、色々な意味で、今しています!!

だから、撮るな、撮らないで、土下座でも何でもしますから!!!!!!

『カシャッ!!』

のぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!





――アカデミー教室(忍者登録書受付所?)――


「……………むぅ、くの一として表に出すのも面白いかも知れんな」

「納得しないでくれ、撮り直しを要求する!!」

何、顔を赤らめながら認めてやがる、このエロ一号は!?

「じゃがな、コレはコレで面白いと思わんか?」

「いや、面白がる為の物じゃないだろ、それ」

「そもそもコレで撮ろうとしたのはお主じゃろうが」

「……さっき俺を運んで来た影分身の小人、アレが全部やったんだよ」

「いや、影分身が自意識を持って動くなんて事がある訳なかろう」

「自分の意思でやってたら後悔なんてしないって!!」

確かに、前の時は歌舞伎の隈取を真似た化粧してたけどさ、幾ら俺でも女装はイヤだ。

女装は……イヤな思い出しかないから、絶対にもう二度としないと心に誓ってたのに。

まぁ、たぶんお色気の術使って遊んだりしそうな気もするけど。

「まぁ、そこまで言うのなら仕方がないの、明日にでも取り直しじゃ」

「はぁ、よかったぁ」

もしコレをアンコとか紅とかハナとかに見られたら………ゴスロリで買い物なんて事はもう二度としないッ!!!!

『ガラッ』

「じじィ、勝負だァ、コレ!!」

ああ、放心してる間に何時の間にか木の葉丸が乱入して来る時間になってたか。

「あ!」

「いってェェーー!!」

エビスさんが部屋に突入して来て、それとほぼ同時に木の葉丸がこける。

うん、見事なこけっぷりだ。

…………いや、見習い以下とは言え忍を目指す者としてどうかと思うけど、上忍になっても良くこけてたし天性の才能なんだろう、このこけっぷりは。

「くっそぉお、トラップか、コレ!!」

「だ、大丈夫でございますか、御孫様!?
 ちなみにトラップは何処にもありません!!」

コントだな。

ただエビスさんのツッコミが少し弱いけど。

流すのもネタとしてはありだが、ボケたらツッコミを入れるのはやっぱり基本と言うか礼儀だろうに。

「フ、ム?」

また、変な因縁つけられて仲良くなるのかねぇ、俺達って。

「う……」

と、思ったんだが、『う?』、何だ?

何故頬を赤らめているんだ、そこの特別上忍?

「美しい」

「誰が?」

「お前じゃろう」

「……りありぃ?」

「凝視しとるし、他に美しいと称される様な者は居らんからな」

エビスはもちろん木の葉丸まで顔を赤くして固まってるのはどうなんだろうか?

俺に何を求める?

…………美少女である事を、か?

勘弁してくれ、マジで。

「そ、そうか、オマエが何かしたんだな、コレ!!」

照れ隠しか?

照れ隠しのつもりなのか?

一瞬からかってやりたくもなったが、このまま男に美少女として見つめられ続けるのもイヤ過ぎるから乗るけどな。

「オマエが勝手にこけただけだろう」

とりあえず、前と同じく胸倉つかんで吊り上げとこう。

木の葉丸は……大切な弟、だからな。

あの関係をもう一度築けるかどうかはわからないが、出来るだけ前と同じ流れになる様に動いてみるか。

それにしても、改めて考えると子供相手に大人げ無いな、昔の俺。

「ちょ、コラ!! 手を放さないか!!
 その方は三代目火影様のお孫さんだぞ!!」

うん、律儀に昔と同じ事を言ってる。

頭固いからな、エビスさんって。

こう言う場面で他の応対が思いつかなかったんだろう。

「フン、殴れるもんなら殴ってみろ!!」

「歯ぁ、食いしばれ!!」

「へ? あぐッ……いっへぇぇぇぇええええ!!!!!」

うん、歯を食いしばれとか言いながら殴ったから力一杯舌噛んだみたいだけど、切れてないのが凄い。

「なにぃぃぃいいいいい!!!!」

さて、火影のじいちゃんには後で色々と相談しに行かないといけないんだが、とりあえずここから逃げとくべきだな。

エビスさんの小言を聞くのもメンドクサイし。





それにしても、やっぱり付いてくるんだな、木の葉丸。

「……布の向き、間違えてるぞ?」

「フフフ、良くぞ見破ったコレ!!
 さすが噂通りの男!!」

どんな噂があるんだ、俺って?

覚えてる限りだと九尾の器、化け物、イタズラ小僧、バカ、ドベ、ゴミ、おいろけの術の使い手、こんな所だったかな?

………嫌なラインナップだな、本気で。

それ以前に、木の葉丸は俺がうずまきナルトだってわかってるのか?

謎の小人七人衆が服を持ってこなかったせいで、着替えもしてないし、化粧も落としてないんだけど。

「オレ、オマエの子分になってやっても良いぞ、コレ」

「は?」

「そのかわり、火影のじじィを倒したおいろけの術というのを教えてくれ!! 頼む親分!!」

俺だってわかってるのか。

忍者登録書でも覗いて来たな、これは。

「…………ま、良いよ、着替えるからとりあえずうちについて来い」

「ッ、やったぁぁぁ!!!!」

また、変な弟が出来たと思って良いのかな?

それなら、嬉しいんだけど。






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あとがき


何か、普通なら切っちゃう話を長々と書いてます

本当はただ冒頭の小人七人大暴走の話を書きたかっただけなんですが……何時の間にか木の葉丸の話に流れて行ってしまいました

ま、ラストの一文ではっきりと書いてますが、中忍試験の時の会話を見ていて木の葉丸ってナルトの弟分みたいな感じなのかなぁとか思っちゃいまして

その出会いはしっかりと書きたいなぁ、とか思ってしまいました
ま、わかりやすく言えば、やはり勢いの一言につきます

……………それにしても、書いといてなんですけど、ナルトって女装は似合わない様な気がします

『マンガの世界と現実の世界は違うのだよ』とか言う無茶な理論を押し通しますからそこはどうでも良いんですけどね、実は

ナルト実は美形説………まぁ、無茶を通せば道理が引っ込むと言う事で

いや、サスケとイルカ先生のTSの時点で無茶してますけどね




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