芝村厚志。

享年二十六歳。

中東のとある国にて難民キャンプのボランティアとして働いている最中に体調不良を訴える人を診てもらう為に医者を呼びに赤十字のキャンプへ移動中、某国の軍がキャンプを設置している近隣を通った際、自爆テロに巻き込まれ死亡。

死因は爆死。

爆発が至近で起きた上、車はガソリンを満載していたおかげで骨も残らなかったとの事。

そして、彼の死が全ての始まり。

死を撒き散らした爆音を持ってして、物語は開幕のベルとする。



序話




芝村厚志は、ただの一般人であった。

元々やる気と言うモノを母親の中に忘れてきたのではと言われるほど、常に無気力で、ただ漫然と日々を送るだけの一般人。

目的の無いままに学び、目的の無いままに日々を送る。

何処にでも居る、極普通の民間人。

偶然は、彼の友人が運び込んで来た。

それは、一本のゲームだった。

タイトルは高機動幻想ガンパレード・マーチ。

彼と同姓のヒーローと、彼と同名のヒロインが出てくるゲーム。

その友人にしてみれば、ちょっとした笑いの種になれば良いとでも思っていたのだろう。

オタクと呼ばれる人種だったその友人が、仲間に引き入れてみよう、とか冗談半分に基本的にゲームをやらない厚志に勧めてみた結果、見事にハマった。

ただ、唯一の誤算があるとすれば、ハマり方が彼の予想の斜め上を行ってしまった事だろうか?

当時高校一年だった芝村厚志の生活は一変してしまった。

世界の謎と呼ばれるゲームの深遠に触れるとか、そう言った普通の方向にハマるのでは無く、その思想にハマり込んでしまったのだ。

未来の護り手。

子供の守護者。

どこかの誰かの未来の為に。

そんな言葉の羅列。

それに、厚志は傾倒した。

厚志自身にも、何故そこまでこのゲームに傾倒したのかはわからない。

ただ同姓のキャラと、同名のキャラが居ただけなのだから。

理由は本人にもわからなかったが、それでも変わったのだ。

しかし、だからと言って学校を辞めて戦場に飛び出したとか、そんな事ではない。

様々な知識を学び、技術の習得に励み出したのだ。

理由は対した事ではない。

戦えるのならばそれを選択したかもしれないが、それが叶う身体ではなかった。

それが理由。

だから学び続け、高校を卒業すると同時にボランティアとして海外に出発した。

どこかの誰かの未来の為に。

子供の守護者として、未来の護り手として。

その結果が、自爆テロに巻き込まれて終わり。

世界は悪意に満ちている。

そう、納得せざるを得ない結果に終わりながらも、その死に顔は満ち足りたモノだったと言う。

その答えは、遺書に書いてあった。

戦争を終えたとは言えない国に居る以上はと書き残して遺書にはただ一言、こう書かれていた。

【種は蒔いた】

それが、答え。

厚志を知る者はその意味に笑い、泣いたと言う。

意味を知らぬ者は、意味を知る者からその意味を聞き、やはり笑い、泣いたと言う。

世界に、少なくとも厚志の故郷と、彼が赴き蒔いた種は、芽吹いて見せた。

これは、そんなそんな青年のその後の話。

本来なら在り得ない筈の、その後の話。

ちょっとした、夢物語。

……ほんの少し、血なまぐさかったりするけれど。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき


さて、またまたゼロ魔です

しかも今回は現実来訪系

私の技量では地雷ですよ?

地雷なんです、それはもうどうしようもないレベルで

ですが、まぁ、はじめてしまいましたので、少し書いて行きます

しばし、お付き合いくださいなのですよ

でわ、これにて失礼いたします

2007/09/30




戻る   次へ