昔 妖狐ありけり
その狐 九つの尾あり
その尾 一度振らば
山崩れ 津波立つ
これに因じて人ども
忍の輩を集めけり
僅か一人の忍の者
生死をかけ これを封印せしめるが
その者 死にけり
その忍の者
名を 四代目火影と申す━━━━━
と、まぁ、そう言う事が俺の産まれた時に起きたらしい。
そしてその九尾退治の時に封印の器として使われたのが、俺。
四代目火影の息子であるうずまきナルトだ。
下忍になって里外の忍や人と出逢ったり、俺を認めてくれる人が居る事を知るまで、本当に色々とあった。
ホントは昔から俺を認めて、大切にしてくれてる人達って結構居たのに全然気付いてなかったのを改めて気付かされたし、な。
やっぱ、下忍って言う子供とは明らかに違う立場に立てたのが良かったのかもしれない。
九尾の器って言う事実を知らない人との出会いが、一番良かったのかな?
タズナさん、ツナミさん、イナリ、白、再不斬、テマリ、カンクロウ、我愛羅、下忍になって出会った人達。
色々な考えがある事を知った。
色々な人生がある事を知った。
色々な想いがある事を知った。
おかげで、理解した。
三代目のじいちゃん、師匠、カカシセンセー、イルカセンセー、ガイセンセー、アスマセンセー、ゲンマ、イビキ、紅、アンコ、シズネ、ツナデのばーちゃん、名家・旧家の当主達、俺を九尾の器だと知っていても、真実を理解して居るからこそ俺を護ってくれていた人達の事を。
ヒナタ、ハナビ、いの、サクラ、テンテン、シカマル、シノ、キバ、チョウジ、ネジ、それに……アイツ。
皆が俺を友として、一人の男として見てくれた。
…………調子に乗って、ハーレム作って本気で刺されたのも良い思い出だ。
アンコに紅、シズネ、キバのねーちゃんのハナ、ヒナタ、ハナビ、いの、サクラ、テンテン、ツナミさん、それにアイツと手当たり次第って言っても差し支えないメンバーが揃っちゃったからなぁ。
……ヒアシ義父さんと殺し合い一歩手前の決闘、何回やっただろう?
春野の義父さんと義母さんみたいに徹底的に否定されるのは、まぁ、俺の立場を考えればある意味当然だけど、他の皆の御両親が大喜びだったのはどうなんだろう?
アンコ、シズネ、紅、ハナは、行き送れとか言われてもおかしくない年だったからそうだったのかもしれないけど、いのとテンテンの御両親はどう言う判断をしてたんだろう?
ちなみに、ツナミさんの時はイナリが大喜びしてタズナさんが渋い顔をしてたっけな。
最終的には皆が祝福してくれたし、子宝にも恵まれ……過ぎたけど、とにかく、幸せだった。
そんな人生を送っていても心残りはあるんだけどな、やっぱり。
例えば、今も俺の腹の中で眠ってる九尾の事だ。
九尾と会話が出来る様になって知った事。
余所の里の連中が木の葉隠れの里を潰す為に木の葉の忍の格好して九尾の子供を殺して、その事で暴走しただけらしい。
子を想う親の心を利用した最悪の行動だ。
……いや、忍なんてモノを生業として色々とやって来た俺がそんな事を考えるのも白々しいとは思うが、この想いもまた俺の真実だ。
里の皆の想いもわかるが、それ以上に俺には九尾の想いもわかる。
九尾の記憶を、想いを、直接自分の記憶として経験した事もあるし、何よりも九尾の狐が俺の心や身体を護ってくれていた事を俺は知って居るから。
正直に言えば、彼女にも幸せになって欲しい。
俺が幸せにしたかったが、出来なかった。
サスケの事もそうだ。
イタチの事情も理解した。
理解はしたが、それでも、俺はアイツの泣き顔は見たくない。
己が一族の為に本当の性別を捨て、本当の名前を捨て、闇に身を任せたアイツを俺は助けられたんだろうか?
今のアイツは本当の名を名乗り、一族の事を考えては居るが、ちゃんと笑っている。
でも、これからもそうしていられるんだろうか?
心配の種は尽きない、か。
今にも死にそうな状態……いや、正確には黄泉路を歩いている最中に考えるだけ無駄、かな?
心残り一つ残さずに死ぬってのは、本気で難しいらしい。
父さんも、三代目のじいちゃんも、屍鬼封尽を使う時はそんな事を考えてたんだろうか?
末期の日 黄泉路の旅は 一人旅
尽きせぬ想い 背負いて進まん
「誰の、歌だったかなぁ?」
人生三十年…………未練が無い方が問題だな、この短さだと。
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