第十一話


西条輝彦十四歳は、呆然としていた。

師より下される修行内容は自分の年齢を無視した、常識外れのモノだと思っていたのだ。

それが、あっさりと覆される。

目の前で繰り広げられているのは、長いとは言えないが十四年の人生の中で築き上げた自分の中にある常識と言う言葉を根こそぎ否定するような情景。

明らかに自分よりも年下の少年達が行う、常軌を逸した修行。

その修行を許す唐巣神父の正気を疑い、それを躊躇いなく行う年下の少年達に恐怖を覚え、何故か二人のうち年嵩の少年に対して原因のわからない苛立ちを覚え、対抗意識が芽生え、原因のわからぬ焦燥感と決意が胸の内に頭を擡げ、年嵩の少年に対する苛立ちよりもなお強い己に対する苛立ちを覚える。

自分は何をしているのか、と?

こんな事で驚いていて勝てるのか、と?

こんな事で恐怖していて護れるのか、と?

何に勝てるのかなんてわかりはしない。

何を護れるのかなんてわかりはしない。

ただ、己が内に芽生えた想いは心の内に強く根ざし、一つの決意を抱かせる。

強くならなければいけない。

意味も、理由も、何一つわからない。

ただ、わからないままに少年も覚悟を決めた。

その後、案の定と言うかなんと言うか、年下のその少年と無意味な口論をしていたりするのだが。

それを見ていた鬼道や美智恵達は口を揃えて『兄弟みたいに楽しそうに喧嘩していた』と評したが、二人は必死になって否定したと言う。

「「アイツは俺の敵だ!!」」

二人揃って、同じ言葉を叫んで。

それを叫んだのがほぼ同時刻だったと言うのもまた、余談でしかない。







「西条君も、やはり?」

「ええ、横島クン達と同じかそれ以上の修行を始めました」

「普通はあんな修行を見せられれば怖気づくんだがね」

「そうね〜、うちの使用人の中にはまーくんの事を気味が悪いって言う子も居るみたいよ〜」

場所は唐巣神父の教会、場に集うは美神美智恵、六道冥華、唐巣和弘の三人。

子供達の姿がないのは子供達の話をするから。

大樹と百合子の姿が無いのは霊能力に関わる話もあるから話題についていけない二人は邪魔になると判断したので。

ただ結界を張り巡らせ、外部に一切の情報が漏れない様にしただけの教会の一室にて会話は行われている。

内容は簡単。

子供達は何故あそこまで修行に打ち込むのか?

子供にとっては日常の事。

親や師に当たる者達から見ればとても重大な事。

二人は子を持つ母で、一人は人を救う為に己の人生を棒に振る事の出来る聖人だ。

そんな人達が下手をしたら命に関わる様な修行を日常と言い切れる子供達を見て、何も思わない訳がないのだから。

「原因がわからないと何も出来ないわね〜」

「ええ、西条クンは『理由は自分にもわからないんですが、強くならなければいけないんです』って、それしか言いません」

「まーくんと同じね〜」

「そうなると、やはり忠夫君と悠仁君、か」

「え、あの二人は何か知っているんですか?」

「悠仁君には誤魔化されてしまったけどね、以前横島君が昏倒した時私が治療したんだがうわ言で『あんな事はもう嫌だ』と繰り返し呟いていたんだ」

「あんな事、ね」

何があったのか何て想像も出来ない事。

ただ、そこに宿る感情を実際に聞いた唐巣神父の表情からでも、ただの夢や妄想等では無い事は読み取れる。

それに、予測でしかないが横島が“何か”を知っているのも理解出来る。

「でも〜、聞けないわよね〜」

「正確には、聞いても応えてくれない、が正しいんだけどね」

「おそらく悠仁ちゃんも知っているんでしょうけど……」

「あの二人〜、妙に口が堅い所があるもの〜」

「それこそ“何か”を隠している証明にはなっても、それが何かはわからないからね」

「大樹さんと百合子さんが聞いてもダメだったそうですし」

「あの二人が静観しているのなら〜、私達も静観するしかないわね〜」

「やはり、結論はそうなりますか」

普段はのほほ〜んとした顔しか見せない冥華ですら渋い顔になり、会話はそこで止まる。

理由は簡単。

自分達に出来る事がないから。

見守り、愛し、育み、護り、過ちを犯せば正す。

大人が子供に出来る事はその程度の事。

後は、ただ自分の行動と言葉によって伝える事。

そして、彼等の親がそうしている。

ならば、確かに結ばれつつある不可思議な絆を頼りに共に居る事になる以上は、同じ事をするしかない。

見守り、愛し、育み、護り、過ちを犯せば正す。

「無力、ですね」

「無力だよ」

何も出来ない自分達に歯痒さを感じ、言葉少なく応答を繰り返す。

意味などない。

己が無力だと言う事は既に理解しているから。

「でも〜、やれる事はやらなきゃダメよね〜」

「当然だね、私達は師や姉弟子と言う以前に、大人なのだから」

「子を持って理解していたつもりでしたけど、大人は大変ですね」

「まったくだ」

美智恵の言葉に苦笑で答え、三人は立ち上がる。

霊能に関わる話で有益な事など西条が横島達と同様に過酷な修練を始めたと言う事実と、その内容がどれだけのモノか理解出来ただけ。

それ以外では横島達の修練を見て過酷な修練を己に課す様になるか、異常とも言える修練を続ける横島達を異常者を見る様な目で見るかのどちらかだと言う事。

後は鬼道と西条の二人は“何か”に後押しされていはいてもその“何か”が何なのかは理解しておらず、横島と悠仁はそれを理解していながらも秘密にしていると言う事実を再確認し、自分達が出来る事は“大人”として接する事。

ほとんど現状の再確認で終った不毛な会話も、大人としての行動を決める為の会話に移行すれば少しは有意義なものに変わるだろう、そう考えて三人は立ち上がる。

横島がストレスで倒れない様に、鬼道がそれに巻き込まれて慢性の胃潰瘍なんかにならない様に、話すべき事はたくさんある。

ここからは霊能力者としての会話じゃない。

一人の大人としての会話だ。

大樹と百合子を交え、どれだけ意味があるのかはわからないまでもすべき事は山ほどあるのだ。

内容によっては横島と鬼道、ついでに今回の件で強制参加させられそうな予感のある西条の三人に対する常識を無視した育成計画が発動しかねないのだが。

そこはそれ、男達で子供達の事を話し合えば良い。

父親の事情により接する機会の無い令子。

実の父親から身売り同然に六道家に預けられている鬼道。

実の両親が死去してしまった悠仁。

横島の周りには父との接点の薄い子供がこれだけ居るのだ。

大人の男として出来る事は、すべき事は沢山あるのだから。

この場に居る事の出来ない父親達の代わりに。

……一人、自分からその立場を放棄したっぽい人も居たりするんだが、それを気にしていたら何も始まらない。

ちなみに、鬼道の母親は旦那を捨てて鬼道の世話をする為に六道家で働き始めている。

平行世界の時とは違い、鬼道を捨てて実家に帰ると言う行動は選択しなかったらしい。

旦那は躊躇い無く捨てたようだが。

「お茶が美味しいですな」

「ええ、とても」

やるべき事を話し終えた男達は母親達の会話に参加せず、のんびりとお茶を啜っている。

「せやから、そんなんやないって言ってるやろ!!」

「だから、そうじゃなくて!!」

「も〜、落ち着きましょ〜」

キレて怒鳴りあう母二人、大声は出さず静かにキレている母親一人を横目に見ながらお茶を啜る。

……参加出来ない、の方が正しいかもしれない。







「あ〜、こりゃ確かに人手が必要っスよねぇ」

「無害な浮幽霊も居たでしょうに、既に悪霊に取り込まれてしまっていますね、これは」

「せやね、力の強い悪霊が五〜六に呼び寄せられた浮遊霊が四〜五十、内悪霊化しとるんが半分以上って感じやな」

「いや、それだけじゃないな、鬼門がある訳でもないのに周囲一体の霊が呼び集められているみたいだ」

「その通り、報告書によるとある日霊現象が起きる様になったそうなんだが、最初は本当に些細な事だから気のせいだと思っていたらしいんだ」

「で、それが徐々に多くなって、おかしいと思い始めたらもう手遅れでこんな状態でした、と」

「そうらしい」

幽霊屋敷と言う表現がピッタリとくる雰囲気の家の前で、微妙に冷や汗を流して居る鬼道を除きのんびりと事前確認を取り合う四人。

唐巣教会所属の霊能力者総出である。

まぁ、二人ばかり他所の弟子が混ざってたりするが、これがしばらく前からのスタイルになりつつあるので誰も気にはていないが。

横島と西条が睨み合ってるのもデフォルトだと認識されているので、これも気にする者は誰も居ない。

結局、互いに自分の背中を預けられる相手だと信頼した上でのじゃれ合いだと周りの皆は理解しているから、止める事もなく別所に集中している。

ちなみに、ジーニは教会に非常事態の除霊の仕事が入って来ても良い様に待機している。

……不心得者が突入してきたり、カメラ等を仕掛けに来ない様にと拠点防衛と言う側面もあるが、それも今更だろう。

「じゃあ、改めて作戦を説明するよ?」

「はい」

瞬時に、表情が切り替わる。

それは、横島だけに限った事ではない。

鬼道も、西条も、当然悠仁も、リラックスしたままながら、芯が通ったとでも言えば良いのか。

普通なら、戦闘時のベストな精神状態は千差万別。

師弟や親子で似た様な状態に持って行く事でコントロールする場合もあるが、基本的には違って当然なのだ。

平行世界での鬼道なら自らを緊張状態に追い込んで、その状態で普段と同様に、いや、普段以上に動ける様に、と仕込まれていた。

……それを仕込んだ鬼道の父親はプライドを捨て息子を売り渡して金の無心をし、その結果妻にまで捨てられ、事業も失敗して最終的には鬼道の全てが六道家に取り込まれる事となった。

自業自得であるが、それはまったく、欠片ほども関係のない別の話。

ああ、でも、その取り込んだ会社のテコ入れを某夫妻にお願いしている人が居たから、関係のない話ではなくなってしまうのかもしれないが。

閑話休題。

とにかく、本来の鬼道の精神集中法はそう言った形だったのに、変化してしまっている。

原因は、鬼道以外の三人がリラックスしながらも緊張感を保つようにしているのを見たから。

自分本来のそれと比べて余力を見ることが出来たから、そちらの方が有用だと、そう判断したらしい。

まだ完璧にそれが出来ているとは言い切れないが、他の皆に習っている。

ちなみに、西条と横島の場合は美神親子の影響だ。

横島の方は当然“今の”ではなく、平行世界の美神令子の影響だが。

唐巣神父はその二人の師なのだから、こちらも当然。

悠仁は、実際に余裕があるだけだ。

本来のモノとは比べ物にならないほどに肉体が脆く、力が弱くなっていても魔王の称号を持っていた存在だった上、そもそもが戦闘に特化した魔族ではなく知識に特化した魔族だったのだ。

どのような状況下であろうと、我が身を護る術くらいは幾らでも持っている。

まぁ、遥か昔の女神時代は戦神として奉られて居たりしたから、記憶にある力を振るうに十分な霊力さえ備われば下級の魔族程度ならば余裕で叩きのめすだけの戦闘技術を持ち合わせていたりするのだが、横島が頑張っているので基本的に手出しする事はしない。

実際は、最高指導者から

『横っちとか周りの連中が成長しといた方が後々都合が良いやろうから、本気出したらあかんからな〜』

『あ、でも彼の周囲に居る女性関係の事や暴漢から身を護る為なら幾ら使っても構いませんから、ただ殺しちゃダメですよ?』

と言われて居るので自粛しているのだ。

唐巣教会に侵入してこようとしてきたり、傍目には大人の男相手に抵抗する術のない令子、ナミコ、悠仁を狙って狼藉を働こうとしたバカに欠片ほどの躊躇もなく制裁を加えてマザーズに引き渡したりしていたが。

「とは言っても悠仁君が結界を展開、私が中に進入して大本を狙い、結界の一部を解除して逃げ道を作り、そこに新たな結界を展開して追い込んで殲滅、と言う流れになる」

「で、こっちはこっちで俺と西条が前衛で、鬼道が悠仁のカバー、悠仁は結界の維持を主体に余裕があれば攻撃に参加、って事で良いんスよね?」

力一杯簡単に言えば、唐巣神父が中で派手に戦う、余波や何かから逃げ出そうとするが周囲は結界で包囲されていて唯一の逃げ場らしき場所を発見、そこに殺到してきた所を殲滅、と。

追い込み漁だ、早い話が。

「うん、その通りだよ、じゃあ始めよう」

「はい」

そして、事前に打ち合わせておいた所定の位置に移動し、結界を展開させる。

除霊の、始まりだ。







「ッ、忠夫にーちゃん、輝彦にーちゃん、ゴメン、そろそろ限界や」

「余裕ある内に下がっとけ」

「じゃあ、横島くん。
 僕はまだ余裕があるから、君も悠仁君の護衛をしながら休憩したまえ」

「あ〜、そだな、五分休む。
 そしたら交代な」

「了解」

除霊開始から三十分。

まず鬼道が下がり、それを確認して横島も下がる。

最前線には西条一人が残る様な形に見えるが、上方と背後は横島がサイキックソーサーや破魔符、それに霊波刀を用いて対処しているので一人が囮になっている訳ではない。

霊力量や体力の問題から一流と呼べるほどではないが、連携やその攻撃方法だけを見れば一端の霊能力者を名乗れるだけの力量が見て取れる。

西条が神通棍と破魔符(修行の為にと冥華が用意)を用いてオーソドックスなスタイルで横島と共に前線に立ち、霊力がそれほど多くはない鬼道は夜叉丸を使っての霊的格闘と破魔符を用いてサポート。

悠仁は結界に細工を施して一定以上の霊がこの場に流れ込んで来ないようにして維持し続けている。

直接的には戦っていないが、ある意味一番疲れるのは悠仁のはずなのだが、唐巣神父を含めた大人以外はその事に気付いていない。

西条や鬼道はともかく、横島が気がつかないのは問題なのだが。

「や〜、新しいヤツが来るのを防いだ上でこの量はシャレにならんな」

「まぁ、そう言うんじゃないッ!!」

「とりあえず、予測の量とは桁外れだろ、この敵は」

「中の敵が、予想以上の大物で、家の中に、結界でも張っていたのかもねッ!!」

会話を交わしながら、二人は除霊を続ける。

悠仁は内側から繰り返される霊による攻撃によって綻びが出来かけた箇所に霊力を送り込み補強し、鬼道はそれのサポートをしつつ霊力の回復に努めているので会話には参加していない。

「ッ、西条引けッ!!」

「いや〜、どうやらちょ〜っと、手遅れみたいだよ」

慌てた横島の声に対し、西条は引きつった笑みを浮かべながらもその場から引こうとはしない。

と言うか、出来ない。

西条の目の前には、おそらくは今回の件の大本もしくはその一端を握っている悪霊が現れたから。

引けば、横島はもちろん悠仁達も襲われる。

唐巣神父を除いた年長者として、男としてそんな状況をもたらすなど、矜持が許さない。

故に、一人前線に立ち盾になる。

最低でも、後ろに居る年下の子達が除霊し易くなるようにとダメージを与えて見せると、そんな決意を笑顔のまま実行してみせている。

実際は破魔札を用いて目眩ましにするとか色々と対処法はあるのだが、例え尋常ではないレベルの修練を己に課し、自分が死ぬ事すら想定して行動出来たとしても十四歳の子供。

元来の強過ぎるほどの正義感と混在して、酷く危うい状況になっているのだ。

まぁ、そんな状況だからと言って西条の言葉に従い後ろに隠れているだけの人間など、直接戦闘力を半ば以上封印している状態の悠仁を除いて居はしないのだが。

「くっ!?」

破魔札をばら撒いて周囲の雑霊の足止めをし、神通棍で本命に一撃を加える。

が、あっさりと一蹴され、一撃を打ち込まれる。

「っらぁッ!!!!」

「夜叉丸ッ!!!」

「なッ、横島くん、鬼道くん!?」

「ば〜か、かっこつけたいなら並以上の実力つけてからにしやがれってんだ!!」

「ホンマやで、輝彦にーちゃん」

そして、その致命傷になり得る一撃が放たれようとした瞬間、横島と鬼道の二人が乱入してくる。

悪霊を滅ぼす為の攻撃ではなく、西条を守る為の、攻撃を逸らす為の一撃を放ちつつ。

「……はぁ、年下の子供にそんな注意をされるなんて、僕もまだまだだね」

「ま、俺等はまだガキなんだからよ、しゃーねぇだろ」

「せやで、まだ、ボクらは成長期なんやから、無茶しても仕方ないやんか」

「わかってはいるんだけどね」

意味を理解しないままに同じ思いを抱いている少年二人と、意味を理解した上で同じ思いを抱いている少年は、互いに苦笑を浮かべあう。

唯一の女の子は、それを見て別の意味で苦笑しているが。

「さて、死力を尽くしますか」

「ホンマはこの程度、余裕で処理出来なあかんのやけどなぁ」

「成長途中って事で誤魔化しとけ」

笑いあい、三人が動き出す。

「……こう言うのを青春、と言うんでしょうか?」

その後ろでは悠仁が一人、某机の少女の台詞を口にしていたが誰も気付いていなかった。







「そちらに一体行ってしまうとは私のミスだった、申し訳ない」

「いえ、戦いの際の心構えを少しでも理解出来ましたから、とても有意義でしたよ」

「そうっスね、蛮勇と勇気の違いって奴が良くわかったっスね」

「そう言う事は言わないでくれないかな、耳が痛い」

「はっ、痛くなるように言ってんだから痛くねぇとかほざいたら殴ってるよ」

「ほぉ?」

「ん、やるか、あ?」

にこやかな笑みを浮かべ、互いに睨み合いを始める横島と西条。

が、誰も気にはしない。

霊力を使おうとしたら止めるだろうが、喧嘩もコミュニケーションの一端だし、訓練の一環にもなるし、何よりも本気で喧嘩している訳でもないからと放置している。

「悠仁君も鬼道君も大変だったろう、大丈夫だったかい?」

「二人が前で対処してくれとったし、戦闘中でも休憩出来るように動いてくれとったから、ボクは平気です」

「冥華さんから頂いた霊符の補助もありましたし、余裕がないのに三人がそれとなく霊力を分けてくださっていましたから、多少疲れた程度ですよ」

男三人、さりげない女性へのフォローとかそう言うモノを身に着けつつあるらしい。

まだ子供だからか全然さりげなくなかったりしているが、それでも女性陣の教育と、大樹の行動は立派に成果を見せつつあるらしい。

唐巣神父以外はほとんど誰もその事実に気付いていなくとも、着実に。

それはある意味ジゴロの才能を磨いているのと同義なのだが、誰も気付いていなかったりする。

まぁ、鬼道は一筋だし、西条がそうなのは並行世界で普通に成長しても同じ結果になっていた。

横島に関しては、横島だから仕方がない。

おそらくだが、悠仁と言う妹も居れば、周囲に色々な女性が居るから、ナンパの成功率は過去とは比べ物にならないほどに確実に上がっているだろう。

六〜七年経って、煩悩が抑えられていればの話だが。

「さて、依頼主に連絡を入れて帰ろうか」

「そうですね」

「あ〜、今日の夕飯はなんやろ?」

「今日は洋食に挑戦するとジーニ君が言っていたからね、楽しみにしていようじゃないか」

不毛な口論を続ける弟子二人を気にせずに年少の二人と話す唐巣神父達。

どうやら、ジーニは唐巣教会の台所を掌握したらしい。

「……やはり、家事全般は必須技能ですね」

そして、一人少女が母に特訓をつけてもらおうと決意していたりする。

その結果、一人の父親と神父が尊い犠牲になるが、それはただの始まりでしかなかった。

少年の為に料理を学びたいと願う少女は一人ではなく、複数居るのだから。

その後、父親と神父が実験台になったと聞いた少年が必死で謝罪して親孝行、師匠孝行に励んだりしたのは別の話。




----------------------------------------------------------------------------------

あとがき


箇条書きみたいになってなんだか変な感じです

除霊シーンも力一杯省いてるちゃいましたし……もうちょっと詳しく書いた方が良かったかもしれません

西条との出会いは、はっきり言って少し離れた場所から美智恵に連れられた西条が見ていただけ、と言う一方的な感じで始まります

そこら辺も詳しく書いた方が良かったんでしょうが、何となくこんな感じになってしまいました

弱い主人公達を書いておこうと思って除霊シーンを入れたんですが……弱さを示せていません

今回は西条触発される、大人達色々と考えを巡らせる、五人での除霊の三つの短編を纏めた感じです

……いえ、別に三つくっつけなくても一話書くくらいは簡単な分量に増やせるんですけどね、実は

必要なら幾ら長くなっても問題はないと思うんですが、無意味に長くなるのもどうかなぁ、と

そんな理由で、西条はレギュラーメンバー入りします

まぁ、原作通り数年後にはイギリスへと旅立ちますけどね

次くらいに学校生活とかを描いて一気に時間を進めてみましょうか……時間、かかり過ぎてますから

とりあえず、後で何箇所か短編の外伝でも書いて補強しようかと思います

……本編の更新が停止してから二年経ってますけど、続きを書く気はあるんですよ?

だからこうやって、過去分をUPしているのです……いや、本気ですからね?




以下はNTにていただいた感想にたいするレス返しです

さわり一連の流れについてですが、聞いたのは“何をしたのか”のさわりでその“結末”は聞いていないと言う事で納得してもらえないでしょうか

単語の意味を理解せずに使っていたのですが、それでも話は通るかな、と思うので

大樹は純粋に義娘に甘く、百合子は裏で『女の涙は武器なんやから云々』とレクチャーしています

気を使ってもらったりもしていますが、どちらかと言うとこの横島は修行や友達と一緒に過ごす事を優先しています

唐巣神父の所で休憩して居る時や、休日なんかには悠仁や乙姫達に振り回されているって感じで

だから、話の中でデートに連れて行ってもらえないからと悠仁が拗ねているんですよ

それに対する負い目+両親のプレッシャーが悠仁の涙目には篭っているんです

原作美神デッドコピー化は、がんばって避けます

大樹がベタベタに甘くなるのは当然の流れとしても、百合子は女の子相手だからこそ色々とシビアになりそうだとは私も思いますから

まぁ、まだ悠仁は六歳ですから、小さな女の子に対する甘さ、もあるのかもしれませんが

横島を襲った人達は、『別人が変装しているんじゃないの?』と怪しまれるぐらいに変貌してしまいました

西条は、横島のお兄さんみたいな人になります

それが原因で、悠仁達も横島の事を考えて迫害したりする事はありません

まぁ、専有し過ぎたりすると流石に文句言われたり恨みがましい目で見られたりしますが、西条も立派な女たらしですから女性陣の不満ギリギリの所を何となく見抜いてその前後には横島を差し出していますから

ハーレムメンバー、本編書いてて気付いたんですがオリキャラ作らなくても半オリキャラって事で名前だけとか名前も出ていない女のキャラって山ほど居るんですよね、GS美神って

……とりあえず、ガブリエルとスルト、何時こっちに寄越しましょう?

夏子も再登場時期をどうするか予測もつきませんし、悩みます

でわ




前へ   戻る   次へ